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高森明勅
2010.7.25 03:11

元死刑囚、元工作員、現工作員?

マスコミは来日した金賢姫氏に対し、元死刑囚とか元工作員という表現を使っていた。

この事について、元死刑囚だと悲劇のヒロインみたいなので、普通に元工作員と呼ぶべきではないかと言っていた人がいる。

なるほど一理あるなと思う。

でも元工作員というと、今は百パーセント工作員ではないという表現だ。

だが、果たして彼女が今も工作員である可能性は一切ないと断定できるのか。

ここからはあくまで一般論だが、彼女のようなケースだと、北の工作員としての洗脳を解くために韓国当局が力を尽くすのは勿論だが、そのまま一民間人にすんなり戻すとは考えにくいのではあるまいか。

逆に、韓国サイドの何らかの工作員として確保しようとするのが、普通のように思える。

金氏本人にとっては恐らく迷惑な話だし、気の毒なことでもあろうが、現実的に考えると、そうした可能性は決して排除できない。

韓国の工作機関である国家安全企画部の元部員と結婚していたのも、やや気になる。

このたびの来日の際、メディアのあらゆる質問に終始、笑顔でスラスラ答えていたのに、韓国での暮らしぶりについてだけは、笑顔も消え、プライバシーを理由に全く答えなかったのが印象に残った。

誤解されては困るが、私は根拠もなく彼女を工作員扱いするつもりはない。

だが、予めその可能性を頭の中から全く締め出して怪しまないというのも、冷静に考えてみると奇妙なことのように思える。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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